ルキンフォー

心理学・育児・発達障害のことなど学びつつ、ラクになれる生き方を模索中

恋愛のこと

20代前半から10年近く付き合っていた彼氏がいた。

最終的には振られたのだが、今日はその話を書こうと思う。

 

知り合ったきっかけは、ゲームセンターでナンパされたことだった。それから、2、3回会って付き合うことになった。

正直、私は恋愛経験もなかったし、人を好きになったこともない。彼とも、付き合いたいとも、運命的なものを感じたなどということも全くなかった。

実は、10年の間にも、そういった愛情を感じたことは一度もなかった。

なのに、何故付き合ったかというと、向こうが熱心だったのと、付き合う経験くらいしないとダメかと思ったからだった。

私が子供のころは、女性の適齢期は20代前半と言われていたし、高卒で就職した子は結婚し始めるころだった。私自身は、自分で何かを決めることが出来ない人間だったし、気乗りしないことほどやらなくてはならない、と言ったような思い込みもあった。

 

10年間も、全くうまくなどいかなかった。

まず、私は相手を好きではないので、会うことよりやりたいことがたくさんある。

いつも、「好きなら電話するものだ」「好きなら会いたいものだ」と言われ、毎日電話をし、土日は会い、友達と会っていると何回も着信が入っていた。

当時は電話代もかかったし、会っているときもお互いが楽しい時間ではなく、向こうの趣味のゲームをしているのに何時間も付き合わされているだけ、友達とゆっくり会いたいのに「何時に帰る?」としつこく聞かれた。

「お金がかかる」「私もやりたいことがある」といくら説明しても、「好きならそんなことは言わない」の一点張りでしょっちゅうけんかになった。

 

「好きなら」というのは本当に困る。だって、私は好きじゃない。

だったら、そう言って別れてしまえばいいのだが、決断できない私には、そこから踏み出す勇気がなかった。

いつも我慢していたから、そのうちちょっとしたきっかけで激しくキレるようになっていった。

 

実家に戻った後、私は彼を頼った。彼は職を転々として、フリーターのような状態で、年中食事をおごったりしていたのだが、結婚して私を家から出してほしいと頼んだ。そのためには、親を納得させるために正社員になって欲しい。それが、付き合って初めて、「自由にさせて欲しい」以外の私の頼みだった。

最初は頑張って職探しをしていたのだが、今までできなかった人が突然うまくいくはずもない。

そうしている間にも、私の精神はどんどん不安定になっていき、「つらい」「死にたい」「早く私をここから出して」と毎日泣きながら繰り返すようになり、それを重く感じた彼から別れ話が出た。

私は初めて泣いてすがった。今まであなたには散々食事もおごってきたし、どんなにお金のないときも見捨てなかった。なのに、あなたは、私が人生で一番つらいときに見捨てるのか。あなたに見捨てられたら、私はこれから何を望みに生きていけばいい?

彼もやはり、他の人と同じことを言った。「親の言うとおりにしない人なんていくらでもいる。逆らわないのは勇気がないからだ。そんなこともできない人間とはこれから先もやっていける気がしない」

 

私が「好きでもない、私を大切にしてくれない人とは付き合わない」ということが決断できる人間だったら、彼に使ったお金と時間をもっと自分のために使えたのだろうなと思うことがある。

けれど、誰とも付き合ったことがない状態では、婚活のハードルは果てしなく高くて、始められたかもわからないし、一方的な要求を聞かせられた経験があるからこそ、今、夫が自分を大切にしてくれていることがわかる。

あれはあれで、必要な学びだったのだろう、と思う。