ルキンフォー

心理学・育児・発達障害のことなど学びつつ、ラクになれる生き方を模索中

カウンセリング

私が調べたところ、カウンセリングには2種類があった。

1つは、単に悩みを聞きますというもの。1回1時間5000円くらい。これは、解決というよりは(アドバイスくらいはしてくれるのかも知れないが)とにかく誰かに聞いてもらいたい、話してすっきりしたい人向け。

そして、もう1つが、幼少期にできた思い込みが原因で繰り返してしまう考え方や行動を変えるというものだ。悩みが対人関係での相手の問題行動であったとしても、こちらの考え方が変わることによって解決することもある、らしい。こちらは原因を探り、幼少期の感情にアクセスするので、知識を持ったカウンセラーが対応してくれる。1回のセッションで2万くらい。私はこちらでなくては意味がないなと思った。

しかし、どちらにも共通していたのが、1、2ヶ月待ちが当たり前という現状だった。当時、私自身も本気でつらかったのだが、藁にもすがる思いで申し込んだカウンセリングで2ヶ月お待ちくださいなんて言われたら、その事実だけで絶望するよね、と自嘲していた覚えがある。

 

私がお願いした先生も土日は同じような状態だったが、金曜の夜はどうですか、と提案してくれた。職場から車で30分で自宅の最寄り駅まで戻り、そこから電車で30分以上かけて新潟に向かう。帰ってきたら、23時過ぎになりそうだったが、翌日休みならばどうにかなりそうだとお願いすることにした。

初めてのメールでは、要領を得ない文章で延々と現状のつらさを語ったが、戻ってきた返事は予約に関する用件のみだった。後で知ったのだが、メールでのアドバイス等はしないようにしているそうだ。

私はウェブで検索して、そのカウンセリングルームを見つけたのだが、HPの「人は幸せになるために生まれてきた」という一文が強く心に残った。

当時、カウンセリング体験を行っており、無料で直接話をして、セッションを受けるか決められるそうだったので、ひとまずそれで申し込んでみた。話を聞いてもらい、説明をしてもらった。これまで誰一人わかってくれなかった(心の専門家ではないので当然だが)、実家に戻ってから苦しくて、毎日死にたいと思っているという話をしたとき、先生は「人は本来生きたい生き物なんです。死にたいというのはそれに反することだから、それだけでもつらかったでしょうね」と言った。それだけで、この人に任せてみようという気になった。

 

初めてのセッションの結果は、劇的だった。帰りの電車でいつも感じる、自宅に戻ってからの不安はいつも通り。しかし、その後の「死にたい」という感情は全くわいてこなかった。

自宅に戻り、いつもの日常が始まっても、その感覚は起こらない。あれだけ私は連日苛んでいた感情は、ぴたりと嘘のように消えてしまった。

2週間後、私は2度目のセッションを受けた。

とにかく、不思議で不思議で仕方がなかった。一体何が起こったのか、質問してみた。

「私、ただ先生の言う通り、昔のことを思い出していただけなんです。なのに、こんなに楽になって。本当に良いのかと思うんですが」

「いいんですよ。あなたは、昔のことを思い出しただけ、と言うけど、それは、本当に勇気のいる、大変なことなんです」

私はそれ以前の状態がつらすぎて、ここから解放されるなら何でもする、というメンタルだったが、実際には、セッションを受けても、何故こんなつらい記憶を思い出さないといけないのか、やりたくない、とか、やっぱり変わりたくない、という人もいるのだと後に知った(その場合は、話し合いの上、このままでいいという結論になれば、そのままセッションを終了することになるそうだ)

 

セッションは毎回1つの思い込みを手放すという方法をとる。全10回のコースでお願いすることにし、前半は先生が提案してくれたことを変えていき、後半は「今日は何をしましょうか」と聞いてくれるようになった。

ろくな知識もなかった私は、何かで聞きかじったようなことを提案したりして、随分と先生を困らせたりもしたが、どうにか10回のセッションが終わり、ようやく少しは動けるようになった。