ルキンフォー

心理学・育児・発達障害のことなど学びつつ、ラクになれる生き方を模索中

人生が変わったきっかけ

もしも、嫁ぎ先の、現在同居している人たちが「気遣いができて、常に私の気持ちを思いやって、話をよく聞いてくれる人」だったら、ということを時々考える。

「すごくいい人たちに囲まれて、とても幸せに暮らしてるよ」と、誰にでも言えるだろう。

 

けれど、気遣いとか思いやりというのは、あくまで本人が想像できる範囲のものでしかない。私の本当の望みや不満は、結局、私にしかわからないのだ。

それを相手に伝えなければ、近ければ近い人であるほど、ズレは次第に大きくなっていく。

そこできちんと話し合えればいいのだが、私は父の影響で、それを自分から言い出すことが全くできなかった。よほどのレベルにならないと、自分が我慢していることにすら気づかないし、あまりにつらくて口に出しても、今度は自責で苦しくなってしまうからだ。

 

嫁いでからの日々は、私にとって、本当につらいものだった。

全く話を聞かずに、モラハラで私を追い詰め、日々の行動は勝手そのものの義父。愚痴や要望には全く耳を貸さずに、約束してもあっさり忘れて、突然思い付きの行動を始める義母。生後2年は私が睡眠障害になるレベルに寝てくれず、呼びかけにほとんど反応もない上に切り替えがうまくできず、現在、発達障害の診断の出た娘。

実家は頻繁に帰ることができるほどの距離ではなく、若いころ父が実家に戻ってばかりいる近所の人を悪く言っていたことを覚えている私は、帰ることに強い抵抗があった。近くには友達もおらず、ママ友作りを目的に出かけても、うまく話すことができずに自己嫌悪になる始末。

 

けれど、ここまでそろって初めて、私は義父と口をきかないことを決断できた、とも言える。

義父は、うまくやるには相当に難のある人間だが、「人を嫌うことを学ぶ課題」と考えれば、これほどにイージーな人もいない。何しろ、仲たがいして困ることが一つもない。逆に言えば、義父にかかわってよかったことなどほぼ思いつかない。たった数回返事をしなかっただけで、自分からさっさと逃げていき、陰口こそたたかれたが、実害は全く受けていない。そして、何より、周囲には、彼を嫌ったことで私を責める人が誰もいなかったのだ。

義父とのかかわりを考えるまで、私はあらゆる人と全力で付き合ってきた。それが普通だと思っていたからだ。他の人が、相手によって付き合い方を変えたり、対して重要だと思わない人の言葉を話半分に聞いているなど思いもよらなかった。

だから、うまくいかない人が現れる度に、「あの人の全てを受け入れている人たちはみんな、菩薩のような心の広さを持っている」「それに比べて、私はなんて心が狭いんだろう」といつも思っていた。

そして、男女ともに依存の強いような癖のある人と関わることが多かった。他の人が避ける人に気づかず、深入りしたからだろう。そして、大概、限界を感じて、キレて逃げ出した。しつこく追われるようなことはなかったが、その度に深く相手を傷つけただろうと申し訳なく思っている。

 

もし、義父がもう少し物わかりのいい人だったら。義母が親身に話を聞いて、義父をたしなめてくれるような人だったら。子供に手がかからなかったら。実家や友達にいつでも助けを求められる環境だったら。あるいは、簡単に別居に踏み切ることができていたら。

あんなに苦しい思いはしなかったのに!と思う反面、それが1つもなかったから、義父と口をきかないことを決め、それによって湧き上がる「怖さ」と、長い時間をかけて向き合い、少しずつ解消してこれたのだ。

結局、私の人生にとって、この出来事はプラスに働いている。

 

何年も苦しい我慢を続けた体験が私を変えたことはほかにもある。

毎朝起きてから、自分が今日やること、食べたいものを考えるようになった。

それまでは、家族の好きなものばかり考えて食事作りしていたが、自分の食べたいものを作るようになった。それで、食事作りがとても楽しくなった(もちろん、誰かを喜ばせたくて作るときもあるが、自分も食べたいか、負担にならないときだけにしている)

みんなが働いているからと、どこにも出かけずに我慢して引きこもっていたが、週1くらいは、生活用品の買い出しと称して出かけるようになった。その日は1日、家事は休みにして、ランチを食べ、カフェでゆっくり自分の心を向き合う時間を取ることにしている。

かつては、どこにも出られないストレスで、食事の材料を買いに行ったスーパーで、必要のない食べ物を山のように買い込んでしまい、期間内に食べきれず、無理やり口に押し込んでいた時期があった。無駄なお金も使っているので、いつもひどい自己嫌悪に襲われていた。今は、食べたいものしか買わなくなったし、それもそんなに多くない。

 

10年前、人生に行き詰って、カウンセリングを受けながらも、どこかしら残る苦しさをいつも抱えていた。理由もわからないまま「変わりたい!」と願った私は確かに、普通ではありえないほど激変した。そのきっかけが、嫁ぎ先の人間関係の苦しさだった、というのは、なんだかとても不思議だ。壮大な引き寄せのような気すらする。

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