最初の目標だった、投稿数10記事を達成したので、ここからは10年前に行き詰ってしまった自分の状態と、そこからの試行錯誤についても書いていこうと思う。
色々な本を読む中で、どうやら、私の父は毒親であり、私はアダルトチルドレンと呼ばれるものではないかと思うようになった。
母や弟は、酔って帰ってきてはDVが行われたことが最も印象に強いようだが、私は精神的な支配の方に、より苦しめられてきた。
以前にも書いたように、父は過干渉であり、怒鳴ったり、機嫌を悪くするという形で、家族の行動をコントロールしようとした。それは思考にまで及び、自分の考えと違う主張をすると「お前は頭がおかしい」といった言葉で、否定された。そして、私は、自分の意思での決断ができなくなった。
バラエティ番組や、ゲーム・漫画などを見ていると、「また、そんなくだらないことをしているのか」と全否定だったし、私が寝食も忘れるほどに熱中した読書という行為に関しても、「目が悪くなる」と言われ、夢中になって読んでいると「近目!!」と悪いことでもしたかのように怒鳴られるので、次第に、楽しいことを大っぴらにしてはいけないんだなと思うようになっていった。
また、父は「正しい」人であろうと、今も、しつづけている。
「正しい」というのは反論が難しい。「そんなの当たり前だろう!」とか「しなきゃいけないに決まっている!」という論理の前では、「そこまでしなくてもいいじゃない」「面倒くさい」というのはなかなか真っ向から言いづらい。せいぜい、こっそりサボるしかないが、親に逆らってやらないというのは子供のころはなかなか難しいし、「こんなことをしている自分は悪い子だ」と自分を責めがちになる。
そして、私も、父をコピーするかのように、あらゆることを「正しいかどうか」判断するようになっていった。
けれど、最近やっと気づいたのだが、「正しい」というほど、絶対的なようでいて曖昧な基準はない。
国や時代によっても違うし、それぞれの考え方でも変わる。私のように、嫁ぎ先が180度違う基準の家ということだってあるだろう。
ただ、そうやって俯瞰してみるようになって気づいたのは、常に正しくあろうとしているのはものすごく疲れるということだ。
私の実家は、みんな、いつも我慢してイライラしていることが多かった。それなら、少しくらいルーズでも、心に余裕があって、ニコニコしていてくれた方がはるかに良いと思うのだ。
それに気づくまでの私は、ひたすら「正しい」人間であろうとし続けた。
成績はクラス上位に保ち、スポーツは苦手だけど文化部や帰宅部は嫌な顔をされるだろうから運動部に所属し、いつも笑顔で、困ってる人には親切に、みんなに遅れがちな子の世話をする。ちなみに、他の子の世話なんて、本当はいつも疲れて辛かった。
習い事もきちんと行き、英語を勉強しろと言われればラジオ講座を聞き、字の練習をしろと言われれば、書き方の本を見てなぞった。自分が楽しいと思うことをしていても、誰かが部屋に入ってくると隠す。
これだけ聞けば、相当な優等生のはずなのだが、私はいつも自信がなくて、必死に周りを見ながら、今やるべきことを考えていた。
DVより精神的支配がつらかったと書いたが、私のうかつな発言で、母が殴られたり、弟が怖がって泣いたりしたので、父の対応には気を使い、私が弟を守らなければといつも思っていた。けれど、本当はそれも、とても苦痛だった。
自宅にいる間は、常に監視されているような精神状態だった。テーブルの上などに短時間物を置いただけで、「誰だ!こんなところにふん投げたのは!」と怒鳴り声が飛んでくる。一度注意されたことは、二度としないように気をつけているから、制約はものすごく多かった。
「お前に良いことを教えてやる」と言って始まる話は、大概、気にいらない人の悪口だった。「だから、お前はそんな人間になるな」と説教めいて終わるのだが、自分が嫌な思いをしたという愚痴を延々と子供に聞かせているだけなのは明白だった。父の機嫌を損ねるわけにはいかないから、私はじっと黙って聞いた。とても嫌だった。特に、母の悪口を聞くのは、今思い出しても涙が出そうになるほどに耐えがたい時間だった。
中学生くらいで、本能的に、ここにいる限り、心の自由はないんだなと感じるようになった。
母は中卒で、とても一人では生きていけない稼ぎだったため、よく私に、「お母さんは頭が悪かったからこんな人生になったけど、お前はちゃんと勉強して良いところに勤めて、一人で生きていけるようになりなさい」と言った。その言葉で、大学に行った方がいいかもと思ったのではないかと思う。
父とけんかになると、祖母や母はよく家を飛び出した。でも、結局行く場所などなく戻ってくる。それはとても哀れに映った。
だから、私は、本当にこの家を出るまでは、家出はしないと誓った。
就職したら、家を出る。だから、それまではここで勉強を頑張る。
そう決めていた私に、思いがけない時代の変化が起こった。